「読めない」は読み方の問題
「育休中だから読書をたくさんしたい」と思っていても、双子育児の現実はそんなに甘くありません。ぐずる子ども、予測不可能なスケジュール、眠気との戦い——読書は後回しになってしまいます。ただ、ここで大切なのは「本が読めない」という諦めではなく、「読み方を工夫する」という発想の転換です。
私が育休中に実践したのは、「2時間かけて1冊読む」という目標を捨てることでした。代わりに、「授乳中に10分、お昼寝中に15分、夜のお風呂後に10分」という「細切れ読書」をしました。すると、月に3~5冊の本を読破することができました。
つまり、「読書」は「まとまった時間がある人の特権」ではなく、「細切れ時間を活用できる人の武器」なのです。特にワーママにとって、限られた時間で「良い本」を「深く読む」技術は、その先の自分の判断軸に静かに効いてきます。
双子育児中の読書術3つのコツ
1. 「完全に読む」をやめる
子どもが泣き出すと、本を読む時間は中断されます。その瞬間、多くの人は「もう今日の読書は終わりだ」と諦めてしまいます。でも、違う。電子書籍なら、どこで中断しても、次に開いた時に続きから読めます。紙の本なら、しおりを挟んでおけば、いつでも再開できます。つまり、「完全に1冊読む」という固定観念を捨てて、「スモールステップで進める」という柔軟さが大事なのです。
2. 「本の選び方」を戦略的に
育児中は、1ページごとに何度も中断されます。だから、「その度に内容が頭に入る本」を選ぶ必要があります。つまり、「重い学術書」よりも「各章が独立している本」や「短い章立ての本」の方が、ワーママに向いています。今回紹介する5冊は、全てそういった「細切れ読書向け」の本です。
3. 「スマホの読書アプリ」を活用する
子どもを抱っこしながら、片手で本を読むのは難しい。でも、スマホなら片手で読める。Amazon Kindleやkoboなどの電子書籍アプリを使うことで、授乳中に読むことが可能になります。実際、私の読書の70%は、スマホの電子書籍アプリです。
1冊目:『エッセンシャル思考』
🥇 いちばん効いた1冊。「何を捨てるか」を決める本。子ども・仕事・休息の3領域で、大切なものを選び直せました。
→ こんな人に:欲張りな目標を全部抱えて、時間が足りなくなっている人
ワーママが最初に開きたい1冊。「より少なく、しかしより良く」という基本思想が、育児と仕事の両立に直結します。育休中に何もかもやろうとしていた私は、この本を読んで「優先順位をつける重要性」を痛感しました。
グレッグ・マキューンは、「エッセンシャル(本質的)なものだけに集中し、その他は思い切って切り捨てる」という思考法を提唱しています。子どもの世話をしながら、仕事のスキルアップもしたい、読書もしたい、体型も戻したい——こんな「欲張り」な目標を持つワーママには、この本の教えが効いてきます。
特に「子どもに対する時間」「キャリアに対する時間」「自分の休息に対する時間」という3つの領域で、「本当に大切なものは何か」を考え直すことができました。育休中の細切れ時間でも、この3領域の物差しがあると迷いが減ります。
2冊目:『限りある時間の使い方』
「人生は4000週間」――そう気づいた瞬間、完璧を諦める勇気が湧きました。
→ こんな人に:完璧を目指しすぎて疲れがちな人
オリバー・バークマンは、「人間は有限な時間の中で生きている」という根本的な事実から出発します。タイムマネジメント本の多くは「いかに効率的に時間を使うか」を説きますが、この本は違います。「完璧に時間を使うことは不可能だ。だから、その不完全さを受け入れろ」と説くのです。
育休中の双子育児をしていると、「やることリスト」は無限に増えていきます。でもこの本を読むと、「全部やることは不可能」「だから、何を優先するか選ぶしかない」という覚悟が生まれます。その覚悟が、心の安定につながりました。
特に「時間に追われ続ける人生」から「時間を味わう人生」へのシフトというテーマは、ワーママにとって大きな支えになりました。仕事に育児に、次々と襲いかかる「やることリスト」に追われるのではなく、「今、ここ」に集中する。その先にこそ、本当の充実感があるのだと気づかされました。
3冊目:『朝1分間、30の習慣。』
朝1分の自問で頭が整う習慣集。育児疲れの日でも掴めるリセット時間になります。
→ こんな人に:朝が慌ただしくて頭が整わない人
マツダミヒロさんは「質問家」として知られる方で、朝の1分間でできる「自分への質問」を30個まとめた本です。「朝1分間」という短さが、育児の中でも実行可能だからこそ、ワーママの味方になってくれます。
育休中の私は、この本の「今日、何に感謝する?」「今日、誰に優しくする?」「今日、一番大事なことは何?」という3つの質問を朝の儀式にしました。すると、子どもたちを起こすまでの時間に、自分のための「思考の整理時間」ができました。その1分間が、その日一日のメンタルを左右することに気付きました。
また、この本は「質問を変えると行動が変わる」という前提に立っています。つまり、「やることリストを作る」だけではなく、「自分に正しい問いを投げかけているか」を見直させてくれる。これは、復職や新しい環境で「新しい問い」を立てる時にも、静かに効いてきます。
4冊目:『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』
毎日1%の積み重ねが1年後に効いてくる原題『Atomic Habits』。三日坊主体質から卒業できます。
→ こんな人に:三日坊主で成長を感じられない人
原題『Atomic Habits』でグローバルに2000万部超えのベストセラーになった習慣化本。この本の中心メッセージは「毎日1%の改善を続ければ、1年後には37倍の成果になる」という複利思考です。特にワーママは「育児」「仕事」「キャリアアップ」を全部同時に進めようとして、心身ともに疲弊しがちです。クリアーは「小さな変化を積み重ねることが、結局は一番早い」と説きます。
この本の核心は「きっかけ・欲求・反応・報酬」という習慣の4ステップを分解し、「続けたい習慣は摩擦を減らし、やめたい習慣は摩擦を増やす」という設計の視点。育休中に「復職後のキャリア」ばかり気にしていた私を、この本は「今1%の学習を積み重ねれば、復帰後にはそれが大きな資産になる」という長期視点へ導いてくれました。
また、「意志力に頼るな、環境を変えろ」というメッセージは、採用担当として組織で長く伸びる人を見てきた感覚とも重なります。短期で燃え尽きる人より、環境を整えて小さな習慣を続ける人の方が、長期的に組織で価値を出していくんですよね。
5冊目:『読書という荒野』
見城徹の読書論。読書観が変わると、日常や仕事の解像度も一段上がりました。
→ こんな人に:本を通じて世界の見え方を広げたい人
見城徹は、幻冬舎の創業者で、年間数百冊の本を読む「読書家」として知られています。この本は、「読書とは何か」という根本的な問いについて、見城の実体験を通じて解き明かします。特に興味深いのは、「読書は、人生を拡張してくれるツール」という観点です。
育休中に「自分の人生ってなんだろう」と考え続けていた私にとって、この本は「読書という行為を通じて、自分の可能性を広げることができる」という希望をくれました。双子育児の中で、毎日が「単調」に見えるかもしれませんが、本を通じて他の人生、他の世界を体験することができるのです。
また、見城は「本は、著者との対話である」と語ります。つまり、読書は「知識を得るだけの行為」ではなく、「著者の思考と対話する行為」なのです。育休中に一人で子育てをしていると視野が狭くなりがちですが、本を通じて他者の思考と対話することで、自分の思考の幅がじわじわ広がっていくのを感じました。
読書は「完璧さ」を求めるものではありません。1冊を完全に読破できなくてもいい。10冊に出会えば、そのうち1冊が人生を変える——その確率が高まるだけで十分です。育休中だからこそ、「読書量より読書の質」を意識してみてください。細切れ時間を活用して、年に50冊でも100冊でも読める。その先に、新しいキャリアの視点が広がっています。
