1. 『転職の思考法』北野唯我

いや、もうこの本は転職を考えている人に最初に読んでほしい一冊です。採用担当の私が言うんだから間違いない(笑)。北野唯我さんは博報堂・BCG(ボストンコンサルティンググループ)出身で、現在はワンキャリア取締役を務める方なんですけど、その経験から「転職の本質」を抽出してるんですよね。

この本の何がいいかって、「転職とは何か」という根本的なところから解説してくれるんです。特に「市場価値」という概念が重要で、自分の市場価値を「スキル」「経験」「人脈」の3つの軸で冷徹に分析する。採用側にいると、この分析が深い人と浅い人の面接のクオリティは本当に全然違うんです。

本の中で「マーケットバリュー」っていう言葉が出てくるんですけど、つまり「市場でいくら評価されるのか」ってことです。自分が今いる企業内では「重要な人」だとしても、市場全体で見たらどうなのか。その冷徹な自己認識を持つことで、転職のタイミングや選択肢が見えてくるんですよね。

特に「今の会社で何を得られるか、何を失うか」という考え方は、双子育児で時間がない私にも刺さりました。すべてを得ることはできない。給与、やりがい、時間、スキル、成長機会。その中で「今、私に必要なのは何か」という優先順位が明確になるんですよね。育児と仕事のバランスの中で、キャリアをどう設計するか。この本を読んで、「時間」と「経験」のトレードオフを正面から考えられるようになりました。

採用側として面接していて気づくのは、この本を読んだ候補者さんは「転職の軸」がものすごく明確です。「なぜこの会社なのか」「ここで何を得たいのか」が1分で伝わるんですよね。テンプレート的な志望動機を言う人とは全然違う。

「採用担当として面接で『あ、この人は本を読んでる』と一発でわかる瞬間があります。それは『市場価値』『マーケットバリュー』『1to1の交渉』みたいな『転職の思考法』ワードが自然に出てくる時。逆に、テンプレ的な志望動機しか言えない候補者は、本を読んでいないと感じます。本を読んでる人は『汎用知識を自分の物語に翻訳する力』が強い。これは書類より面接で強く出るので、書類選考で迷ったら『この人は本を読んでそうか』も判断材料になります。」

— 採用担当として

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2. 『科学的な適職』鈴木祐

で、転職の思考法で「戦略」を学んだら、次はこの本。『科学的な適職』は鈴木祐さんって科学ライターが、心理学や統計学の研究結果をもとに「本当に向いている職を見つけるにはどうするか」を書いた本です。

「適職」って、感覚で選んでいる人本当に多いんですよね。採用担当をしていると、「なんとなく興味があります」「前職で営業だったので営業志望です」という人と「心理学的には〇〇という環境下で、このスキルセットが活かされやすい」という人の説得力は全然違うんです。もう面接時点で「あ、この人は転職についてちゃんと考えてる」ってわかるんです。

この本では「仕事の幸福度を上げる7つの要素」というのが出てくるんですよね。1つは「多様性」。同じ仕事のくり返しより、バリエーションがある仕事の方が幸福度が高い。2つ目は「達成感」。自分が成長を感じられるかどうか。3つ目は「社会への貢献」。自分の仕事が世に役立つと実感できるか。そして「人間関係」「自律性」「適正な難易度」「報酬」。ワーママの視点で考えると、特に「自律性」と「報酬」が大事なんです。育児との両立を考えると、自分でスケジュール管理できる仕事、そして年収の落ちすぎない仕事が必要だから。

特に印象的だったのが「成功は適性×努力」という話。才能がなくても、本当に向いている分野なら努力が報われやすい。逆に、才能があっても向いていない分野は、頑張っても限界が来るんです。双子を育てながら仕事をする私にとって、「とにかく頑張ればいい」じゃなくて「向いているかどうか」が本当に重要んですよね。時間がない中だからこそ、適性の高い仕事を選ぶべき。この本はそういう判断基準をくれた一冊です。

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3. 『苦しかったときの話をしようか』森岡毅

森岡毅さんのこの本、採用担当としても個人としても本当に刺さるんですよね。USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をV字回復させた戦略家が、プライベートでの挫折や、キャリアの迷いについて本当に正直に語っている。成功者の本というと「こうやって成功した」という話が多いんですけど、この本は違うんです。「失敗のど真ん中で、どうやって考えたのか」ということをめっちゃ丁寧に書いてるんです。

「完璧なキャリアパスはない」「試行錯誤の中で自分は作られていく」という話が、育休中のモヤモヤしている私にとって本当に刺さりました。普通だと「ブランクがあるから選考に落ちるんじゃないか」って不安になるんですけど、この本を読むと「そういう紆余曲折を経た人こそ、実は強い」ってわかるんです。なぜなら「失敗から学んだ人」の方が、判断基準が確かだから。

森岡さんが本の中で言ってるのは「苦しいときって、実は成長のチャンス」ってことなんです。育休中で「キャリアが止まるのではないか」という不安を感じていた私にとって、この言葉は本当に大事でした。「この時間は、子どもたちとの時間を大事にしながら、同時に自分の人生について深く考える時間だ」って捉え直せたんです。双子育児で体力が限界の時も「これは投資期間なんだ」って思えるようになりました。

採用側として面接していて気づくのは、森岡さんのような本を読んでいる候補者さんは「失敗を語る力」が強いんです。自分のダメな部分を受け入れて、そこから何を学んだのかを堂々と話すことができるんですよね。そういう候補者は面接での評価が高いんです。失敗を隠す人より、失敗から学んだ人の方が信頼できるから。

「育休中の双子ママとして、本を読む時間って『自分のメンタルを守る時間』でもあるんです。双子の世話で自我が削れていく中、『自分のキャリアにも価値がある』『この時間も無駄じゃない』と思い出させてくれるのが本の力。とくに森岡さんの本は『苦しい時こそ成長』と言ってくれるので、深夜の授乳でモヤモヤしてる時に救われました。育休=キャリアの空白じゃなくて、育休=自分を再構築する期間だと捉え直せると、転職活動も前向きに進められます。」

— 育休中の双子ママとして

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4. 『転職2.0』村上臣

これは比較的新しい本なんですけど、「転職の価値観が変わってる」ってテーマで書かれてるんですよね。村上さんはLINEの執行役員をやってた人で、つまり「内側から企業を見た視点」と「採用する側の視点」を持ってるんです。一つの会社で定年まで働く時代は終わり、複数のキャリアを持つのが当たり前になった。そういう時代の中での転職戦略について、データベースなんかも交えて書いてるんです。

特に子育てをしながら働く身としては、「フルタイム一本」だけじゃない働き方があるんだ、ってのが目からウロコでした。副業とか、複業とか。あるいは「フレックスタイム勤務」「リモートワーク」という働き方。双子がいるから「絶対に時間が必要」なわけで、それなら最初からそれに合った職を探すべきです。この本はそういう新しい転職のカタチ、「複数の仕事を同時にやる」「流動的なキャリア」を示してくれます。

採用側として思うのは、この本を読んでいる候補者さんは「働き方について明確な考え方」を持ってるんです。「年収がいくら必要で、時間はこのくらい必要で、スキルはこれがほしい」という優先順位が明確。そういう人は入社後も「自分たちの会社で何を得たいのか」がはっきりしてるから、実は採用側としても受け入れやすいんですよね。

5. 『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット

5冊目は『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)—100年時代の人生戦略』。リンダ・グラットン(ロンドン・ビジネススクール教授・人材論/組織論の世界的権威)とアンドリュー・スコット(同・経済学教授)の共著で、池村千秋さん訳、東洋経済新報社から2016年10月に出版された一冊です。日本でもベストセラーになって、政府の「人生100年時代構想会議」でもグラットン氏が有識者として参加していた、いわゆる「100年時代」という言葉の発端になった本ですね。

この本がワーママに刺さるポイントは、「マルチステージの人生」という考え方なんです。これまでの人生は「教育→仕事→引退」の3ステージが当たり前だったけど、寿命が延びて100年を超える時代には、その3ステージじゃ足りない。本書では新しいステージとして「エクスプローラー(探索者)」「インディペンデント・プロデューサー(独立した生産者)」「ポートフォリオ・ワーカー(複数活動の組み合わせ)」の3つを提案しています。

双子育児中のワーママとしては、この「マルチステージ」って考え方が本当に救いんです。「育休=キャリアの空白」じゃなくて、「探索ステージ」として捉え直せる。「育児中に副業で書く・学ぶ・繋がる」みたいな動き方も、ポートフォリオ・ワーカーへの第一歩。100年生きる前提なら、30代の数年を「家族と次のキャリアを探す期間」に使うのは、むしろ合理的な配分なんですよね。

採用側として面接していて気づくのは、LIFE SHIFTを読んでいる候補者さんは「キャリアの時間軸が長い」んです。「3年後の年収」じゃなくて「20年後・30年後の人的ネットワーク・スキル・健康」まで視野に入れている。だから目先の条件だけで判断しない。育休中の方が「100年人生のなかで今は探索ステージです」と説明できると、採用側は「あ、この人はキャリアを点ではなく線で見てる」と評価が一段上がります。

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6. 5冊の使い分け早見表(目的別)

5冊それぞれ役割が違うので、「今のフェーズ・悩み」によって読む順序を変えるのがおすすめです。採用担当として面接で見ていても、本によって候補者の言葉が違う、というのは本当に感じるところ。

📊 5冊の使い分け早見表(読む順序の参考)

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本タイトル 役割 こんなフェーズに
転職の思考法(北野唯我)転職の戦略・市場価値の概念転職を考え始めた最初の1冊
科学的な適職(鈴木祐)適職診断・幸福度7要素職種転換・キャリアチェンジ検討時
苦しかったときの話をしようか(森岡毅)挫折・失敗の意味づけ復職前後のモヤモヤ・自信が揺らぐ時期
転職2.0(村上臣)最新の働き方・複業・副業時短・リモート・副業を組み合わせたい人
LIFE SHIFT(リンダ・グラットン他)100年時代のキャリア戦略「育休=空白」と感じる時期に最適

※ 採用担当として面接で「あ、この本読んでるな」と感じる頻度の高さでもこの順序になります。

7. キャリアとは「自分の物語」である

最後は、採用担当として年間何百人の職歴を見てきて感じる、キャリアの本質的な話。なんとなく「積み上げる」ことがキャリアだと思ってた人が本当に多いんです。「会社に入って、出世して、給与が上がって、それがキャリア」みたいな。でも私が採用の現場で気づいたのは、キャリアって「自分の物語」を作ることなんだ、ということ。

バラバラに見える経験も、自分でそれを繋ぎ合わせて「こういう流れで今がある」と説明できれば、それがキャリアになるんですよね。営業を3年やって、その後企画に異動して、そこで〇〇を学んで、今はこの仕事に活かしてる。みたいに。育休って一見「キャリアの空白」に見えるかもしれないけど、その間の親としての学びとか、働き方の再考とか、組織を外から見る視点とか、それを全部繋ぎ合わせたら立派なキャリアストーリーになるんですよね。

採用側として思うのは、「自分のキャリアを物語として語ることができる人」は、本当に面接での評価が高いんです。なぜなら「この人は自分の経験から学んでる人だ」って見えるから。そういう人は入社後も「この経験から何を学ぶか」という視点を持って仕事をするんです。

8. 採用側から見た「本を読む人」と「読まない人」の違い

採用担当として面接をしていて気づくのは、「本をちゃんと読んでいる人は違う」ってこと。転職本を読んでいる候補者さんって、自分の思考がものすごくクリアんです。「なぜこの仕事を選ぶのか」「自分のキャリアをどう考えているのか」「市場価値をどう見ているのか」という説得力が全然違うんです。

本当に、採用面接では「3分で判断される」って言われたりするんですけど、実際のところ「この人は転職について深く考えてる人だ」ってのは、本を読んでるかどうかで見えるんです。言葉の選び方とか、質問の質とか、「自分を客観視してるかどうか」が見えるんです。北野さんの本で「市場価値」という言葉を使う人と、そうじゃない人では、面接の印象が全然違う。

これらの本は、単に「転職に有利になる知識」を与えてくれるんじゃなくて、「自分のキャリアを自分の言葉で語る力」をくれる本たちです。それって、究極的には「自分の人生を主体的に生きる力」なんだと思うんですよね。双子育児で疲れていても、読む価値がある。むしろ、限られた時間の中だからこそ「自分は何のために働くのか」「どんなキャリアを作りたいのか」を真摯に考える必要があるんです。採用側の私が言うんだから、信じてください(笑)。

「採用担当としての本音を言うと、いま転職市場は売り手市場です。doda調査では転職者全体の60.4%が年収アップ、マイナビ転職動向調査2026年版では30代の転職後年収+32.4万円(全年代最大)。転職活動 ≠ 転職なので、5冊で思考の型を整えたら、エージェント登録だけ進めて『市場価値の数字』を持ち帰るのが現実的です。本+エージェントの両輪で、育休中の今だからできる『じっくり選ぶ転職活動』が成立します。」

— 採用担当としての本音

📚 この記事で紹介した本(楽天ブックス)

▶︎ 『転職の思考法』北野唯我(ダイヤモンド社)
▶︎ 『科学的な適職』鈴木祐(クロスメディア・パブリッシング)
▶︎ 『苦しかったときの話をしようか』森岡毅(ダイヤモンド社)
▶︎ 『転職2.0』村上臣(SBクリエイティブ)
▶︎ 『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』リンダ・グラットン他(東洋経済新報社)