1. 2025年4月拡大の中身(何が変わった?)

2025年4月1日から、男性労働者の育児休業取得率等の公表義務が、これまでの「常時雇用する労働者1,000人超」の企業から「300人超」の企業へ拡大されました。

対象になる企業:常時雇用する労働者300人超の企業。ここでいう「常時雇用」には正社員だけでなく、期間の定めのある雇用契約でも1年以上継続雇用されている(または見込まれる)労働者も含まれます。

公表内容:次のいずれかを公表します。

  • ① 男性の育児休業等の取得率
  • ② 男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率(併せて公表)

公表時期:公表を行う日の属する事業年度の直前事業年度の状況について、事業年度終了後おおむね3ヶ月以内に、インターネット等で一般の方が閲覧できる方法で公表します。

採用側から見ると、これまで数字を公表していなかった中堅企業(300〜1,000人)の実態がついに可視化される、大きな転換点です。

2. 公表される数字の読み方

公表される数字には、実は複数の「取得率」があります。混同しないよう整理します。

指標計算式見る時の注意
①育休取得率育休取得した男性÷対象期間中に配偶者が出産した男性分母が「配偶者出産男性」なので、既婚男性全体の取得率ではない
②育休+育児目的休暇取得率育休+育児目的休暇を取った男性÷配偶者出産男性「育児目的休暇(有給・特別休暇)」を含むので①より高く出やすい

企業がどちらを公表しているかは要チェックです。②で高い数字が出ていても、実際の育休取得はごく短期間というケースもあります。

3. 「取得率100%」の落とし穴(取得日数)

採用担当として見てきて感じるのは、取得率100%でも「1日だけ」の取得が主流という企業があるという実態です。数字の見た目に惑わされない読み方が大切。

チェックすべき第2の指標:平均取得期間

公表義務の範囲外ですが、企業によっては「平均取得日数」「取得期間の分布」も併せて公表しています。以下の目安で判断できます。

  • 1〜3日:形式的な取得(産後の付き添い・出生届提出程度)
  • 1〜2週間:制度理解が浸透しつつある段階
  • 1ヶ月以上:実質的な育児参加が組織文化になっている
  • 3ヶ月以上:父親が主体的に育児を担う環境が整っている

ワーママ視点では、パートナーが育休を「まとまった期間」取れる会社かどうかで、家庭全体の育児負担分担が大きく変わります。取得率だけでなく期間も必ずチェックを。

4. どこで見られる?公表場所と検索方法

公表場所は主に3つです。

① 企業の公式サイト
採用ページ・サステナビリティページ・ESGレポート等に掲載されるのが一般的。「男性育休取得率」「男性の育児休業」のキーワードで社名と組み合わせて検索すると見つかります。

② 厚生労働省「両立支援のひろば」
企業名で検索して、公表状況を確認できるデータベース。同業他社との比較にも便利。

③ 求人票・エージェント資料
最近は求人票で「男性育休取得率○○%」と数字を出す企業が増えています。エージェント経由の企業紹介資料にも記載があることが多い。

5. 面接での逆質問テンプレ(人事視点)

面接の逆質問で、企業の育児支援の本気度を測るなら以下のような質問が有効です。

Q1:御社の男性育休取得率と平均取得期間を教えていただけますか?
→ 数字を即答できるかで、企業が本気で開示しているかがわかります。

Q2:直近で男性社員が育休を取得された事例で、期間や復職後のフォローはどのような形でしたか?
→ 制度が「絵に描いた餅」か「実運用されているか」を判別できます。

Q3:ワーママ社員の配偶者の方が育休を取ることについて、社内でどのような認識ですか?
→ 家庭全体の育児シェアに対する会社の姿勢が測れます。

採用担当として面接する立場から言うと、この3つを聞かれると「候補者は男女ペアでの育児を真剣に考えている」と伝わって好印象です。

6. ワーママ転職での企業選び活用法

男性育休取得率は、ワーママ本人の育休制度とは別軸ですが、家庭全体の育児負担分担という視点で見ると重要な指標です。

【スクリーニング条件】取得率30%以上(政府目標は2025年時点50%)を最低ラインに。あわせて平均取得期間1週間以上を目安に。

【組み合わせ判断】男性育休取得率+柔軟措置時短給付金の3点セットで整備している企業は、育児支援の本気度が高いと判断できます。

【業界の傾向】金融・IT・大手メーカーは取得率も期間も伸びている傾向。中堅サービス業・製造業は取得率は上がっても期間が短い傾向、というのが採用担当として見てきた印象(あくまで傾向・企業ごとに実態は異なります)。