1. 2026年4月から何が変わった?30秒まとめ
2025年6月に公布された改正女性活躍推進法が、2026年4月1日に施行。従業員101人以上の企業に「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が義務化されました。
女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)は、企業に女性活躍の状況把握や行動計画づくりを求めてきた法律です。その改正法が2025年6月に公布され、2026年4月1日に施行されました。今回の改正のポイントを先にまとめます。
2026年4月施行・改正のポイント
・101〜300人の企業:常時雇用する労働者が101人以上300人以下の企業に、「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が義務化
・301人以上の企業:公表項目が拡大され、この2項目がいずれも必須に
・法律の期限:2036年まで10年延長(時限立法の延長)
・基本原則:「女性の健康上の特性」への配慮が基本原則に明確化
公表のタイミングは、施行後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度開始後おおむね3ヶ月以内に公表する流れです。日本企業に多い3月末決算なら初回は2027年6月末ごろ、4月末決算なら2026年7月末ごろが目安になります。公表先としては、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」が推奨されています(出典:厚生労働省)。
つまり、この記事を書いている2026年夏は、企業によって新しい公表項目の初回データが出はじめる入口。3月末決算の企業まで含めてまとまって確認できるのは、2027年6月末ごろ以降になる見込みです。復職や転職を考えるワーママにとって、企業選びの材料が一段増える流れだからこそ、「数字の読み方」を先に知っておく価値があります。
2. 公表される「2つの数字」の意味
「男女間賃金差異」は男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の割合。「女性管理職比率」は管理職に占める女性の割合。背景には、OECD調査(2023年)で日本のフルタイム男女賃金格差が22%(OECD平均は11%程度)という現実があります。
まず男女間賃金差異。ざっくり言うと、男性の平均賃金を100としたとき、女性の平均賃金がどの水準にあるかを示す割合です。この数字が公表項目になった背景には、日本の格差の大きさがあります。OECDの調査(2023年)では、フルタイム労働者の男女賃金格差は日本が22%で、OECD平均は11%程度(出典:OECD)。国として無視できない差がある、というのが出発点です。
もう一つが女性管理職比率。こちらは管理職に占める女性の割合で、「女性が長く働けるか」だけでなく「働き続けた先に、責任あるポジションへの道があるか」を映す数字とされています。賃金差異と管理職比率はつながっていて、管理職に男性が偏っていれば、平均賃金の差も自然と開きます。
ここで大事なのは、この2つが「企業の優劣を一発で判定する点数」ではなく、会社の構造を映すレントゲン写真のようなものだということ。写真の読み方を知らないと、誤診します。次の章が、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
3. ワーママがチェックすべき見方:数字の裏を人事目線で読む
「賃金差異が大きい=即ブラック」ではありません。①雇用形態の構成、②管理職比率の母数、③経年変化と説明欄。この3点セットで読むのが人事目線です。
人事として社内の数字を集計する側の実務を知っているからこそ言えるのですが、この手の数字は単体で見ると誤解しやすいです。チェックの視点を3つに絞ってお伝えします。
- ① 賃金差異は「雇用形態の構成」に引っ張られる。たとえば、女性のパート比率が高い会社は、一人ひとりの待遇に差がなくても、全体の平均では差異が大きく出ます。逆に言うと、数字が大きい=女性を不当に安く使っている、とは直結しません。正社員だけの数字とパートを含めた数字では意味が変わるので、区分や内訳、説明の記載があればセットで読むのがおすすめです。
- ② 管理職比率は「母数」を想像する。女性社員がそもそも1割しかいない会社の「女性管理職比率20%」と、社員の半分が女性なのに「10%」の会社では、意味がまったく違います。女性社員の割合と管理職比率のバランスを見ると、「採用はしているのに登用が進まない会社」と「そもそも女性が少ない業界構造の会社」を見分けるヒントになります。
- ③ 単年より「経年変化」と「説明欄」。今年の数字は、いわばスナップショット。それより昨年からどう動いたか、数字の背景を自分の言葉で説明しているかのほうが、会社の姿勢が出ます。公表する側の感覚では、説明欄まで丁寧に書く会社は、社内でこのテーマが議論されている可能性が高い。数字だけポンと置いてある会社との違いは、読み比べると案外はっきり見えてきます。
⚠️ 念のため:公表データを読み込んでも、「入っていい会社」が確実にわかるわけではありません。あくまで求人票と面接だけでは見えなかった判断材料が一つ増える、という位置づけで使ってください(※2026年7月時点の制度に基づく整理です)。
データの見方がわかったら、次は「比べ方」
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4. 企業の探し方:「女性の活躍推進企業データベース」の使い方
公表データは厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」でまとめて見られます。企業名で検索し、同業・同規模と比べるのが基本の使い方です。
「どこで見られるの?」の答えが、厚生労働省の女性の活躍推進企業データベースです。企業が公表したデータが集まる公式サイトで、誰でも無料で見られます。使い方はシンプルです。
- ① 気になる企業名で検索する。いま働いている会社、応募を考えている会社、夫の会社。まず知っている社名で引いてみると、数字の肌感がつかめます。
- ② 2つの数字+その他の項目を見る。男女間賃金差異と女性管理職比率のほか、企業によっては育休取得率や残業時間などの項目、行動計画も見られます。3章の3点セット(雇用形態・母数・経年変化)を思い出しながら読むのがコツ。
- ③ 同業・同規模で2〜3社くらべる。数字は業界構造の影響が大きいので、単独で見るより横並びで見たときの差のほうが情報量があります。
101〜300人の会社のデータはこれから順次そろっていく段階なので、「載っていない=隠している」と決めつけるのは早計です(公表方法は自社サイトなど他の手段もあります)。まだ数字が見つからない会社は、時間をおいてもう一度見てみてください。制度改正の流れ全体は 育児・介護休業法 改正のポイント、働き方とお金の関係は 2026年の「年収の壁」の変更点 もあわせてどうぞ。
5. 面接でどこまで聞いていい?採用担当の本音
法律に基づいて公表される情報なので、確認すること自体は失礼ではありません。差が出るのは聞き方。「数字を調べたうえで、取り組みを聞く」形が好印象になりやすいです。
ここは採用する側として、はっきりお伝えできるところです。男女間賃金差異も女性管理職比率も、法律に基づいて会社が自ら公表する情報。候補者が面接で触れること自体は、まったく失礼ではありません。むしろ調べてこない前提の時代のほうが終わりつつあります。
ただ、採用担当として面接の場に座ってきた実感を言うと、同じ質問でも聞き方で印象は変わります。たとえば一次面接の冒頭から「賃金差異が大きいですが、大丈夫なんですか」と詰める形だと、条件の確認だけに来た人に見えてしまうことがある。一方で——
好印象になりやすい聞き方の例
「データベースで公表データを拝見しました。女性管理職を増やす取り組みとして、いま注力されていることを伺えますか」
——事実(公表データ)を踏まえて、姿勢や取り組みを聞く形。企業研究の深い候補者として受け取られやすく、回答の具体性から会社の本気度も測れます。逆質問のタイミングで聞くのが自然です。
それでも直接は聞きにくい、という人は多いと思います。その場合は、転職エージェント経由で確認してもらうという手もあります。企業に直接聞きづらい待遇や社風の質問を代わりに投げられるのは、エージェントを使う実利の一つです。
育休中のいまは、面接の予定がなくても、公表データを眺めて「世の中の会社はこうなっているのか」と相場観を育てるのにいい時期です。私自身、育休に入って外の情報を見る時間ができてから、自分の会社の立ち位置を前より冷静に見られるようになりました。数字は、感情が揺れているときほど頼りになります。